はじめに

「寝つきが悪い」「眠りが浅い」「夜中に目が覚めてしまう」――
そんな不眠の悩みを抱えていませんか?

暑さのせいで眠れないと思っていたその不調、実は“冷え”が深く関係しているかもしれません。
現代人は、夏でも身体を冷やす環境に長時間さらされています。その結果、自律神経が乱れ、眠りの質が下がり、日中のだるさや集中力の低下につながることも。

今回は、夏の冷えと睡眠の関係性に焦点を当て、東洋医学的な視点から見る原因と対策、そして体質改善のポイントをご紹介します。

しっかり眠れて、疲れにくい体をつくるために。夏を快適に乗り切るヒントが詰まった内容です。


夏に起こる“隠れ冷え”とは?

夏といえば、暑さとの戦い――と思われがちですが、実は多くの方が「冷えすぎ」による不調に悩まされています。特に多いのが、外は猛暑でも室内は冷房が効いている「寒暖差冷え」や、冷たい飲み物・食べ物の摂取による「内臓冷え」です。

▼ こんな症状はありませんか?

  • 手足が冷たく感じる
  • 胃腸の調子が悪い
  • 朝起きても疲れが取れない
  • 寝つきが悪い or 夜中に何度も目が覚める
  • 生理不順、便秘、むくみ

これらは、夏の「冷え」が原因になっている可能性があります。冷えは冬だけの問題ではなく、1年を通して体に影響を与える“慢性的なトラブル”なのです。


冷えが不眠を招くメカニズム

では、なぜ冷えが睡眠に悪影響を及ぼすのでしょうか?

1. 自律神経のバランスが崩れる

体温調節を担う自律神経は、「活動モード(交感神経)」と「リラックスモード(副交感神経)」を切り替える役割をしています。

ところが、体が冷えることで交感神経が優位な状態が続いてしまい、寝る前になっても「リラックスモード」に入れなくなってしまうのです。

その結果、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりと、睡眠の質が下がります。

2. 深部体温が下がらない

人は、体の深部体温がゆっくりと下がっていく過程で眠気を感じます。
しかし、外側(皮膚)は冷えているのに、内側(内臓など)が温まりきっていないと、うまく体温が調整されず、スムーズに眠れないという現象が起こります。

3. 胃腸機能の低下で睡眠ホルモンが不足

冷たい飲み物や食べ物で内臓が冷えると、胃腸の働きが弱まります。
その結果、眠りに関わるホルモン「セロトニン」「メラトニン」の生成に必要な栄養素がうまく吸収されなくなり、不眠につながってしまいます。


東洋医学から見る「冷え」と「睡眠」

東洋医学では、冷えは“気・血・水”の巡りが悪くなることで生じると考えられています。とくに、体を温めるエネルギーである「陽気」が不足していると、体が冷えて不調が出やすくなります。

また、睡眠には「心(しん)」という臓腑が関係しています。「心」は精神活動を司る働きがあり、心のバランスが乱れると不眠や不安感が強くなるとされます。

つまり、体が冷える=陽気不足になることで、「心」の働きも低下し、結果的に眠れなくなるのです。


鍼灸で整える「体の内側からのバランス」

鍼灸では、ツボ(経穴)を刺激することで気・血の巡りを良くし、自律神経や内臓の働きを整える効果が期待できます。

冷えや不眠の改善には、以下のような施術が効果的です。

▼ 冷えに効果的なツボ

  • 三陰交(さんいんこう):内くるぶしの指4本分上。冷え性や婦人科系の不調にも。
  • 関元(かんげん):おへそから指4本分下。体全体の「陽気」を高めるツボ。
  • 足三里(あしさんり):膝下の外側。胃腸の調子を整え、全身の巡りを良くする。

▼ 不眠に効果的なツボ

  • 神門(しんもん):手首の小指側。ストレスや不安をやわらげ、リラックス効果。
  • 百会(ひゃくえ):頭頂部の中央。精神安定や自律神経の調整に◎
  • 安眠(あんみん):耳の後ろ、くぼみのあたり。名前の通り、安眠に導くポイント。

当院では、お一人おひとりの体質や症状に合わせて、冷えと睡眠トラブルを根本から改善する鍼灸施術を行っています。


夏を快適に乗り切る!体質改善のためのセルフケア5選

鍼灸とあわせて、毎日の生活習慣を見直すことで、体質改善はさらに効果的になります。

1. 湯船に浸かる習慣をつける

夏場はシャワーで済ませがちですが、38〜40℃のぬるめのお湯に10分程度つかるだけで、血行が良くなり、冷えがやわらぎます。寝る1〜2時間前の入浴がおすすめです。

2. 就寝環境の見直し

冷房の設定温度は26〜28℃が目安。風が直接体に当たらないようにし、扇風機との併用で空気を循環させましょう。寝具は通気性が良く、保温性もあるものを選ぶとベター。

3. 食べ物で「内側から温める」

冷たい飲み物や生野菜ばかり摂っていませんか?
温かいスープや、しょうが・ねぎ・にんにくなどの“陽性食材”を取り入れて、内臓を冷やさないように心がけましょう。

4. リラックスできる時間をつくる

日中のストレスは夜の不眠にもつながります。湯上がりに軽いストレッチをしたり、アロマや音楽で心を落ち着かせたりと、自分なりの「切り替え時間」を持つことが大切です。

5. 朝の日光を浴びる

朝の光を浴びると、体内時計がリセットされ、夜に自然と眠くなるリズムが整います。起床後15〜30分以内に日光を浴びる習慣をつけてみてください。


まとめ|夏の“冷えと不眠”を改善して、軽やかな毎日へ

「暑くて眠れない」と思っていたら、実は「冷えすぎて眠れない」――
そんなケースが、現代の夏には増えています。

冷えと睡眠の問題は、自律神経や内臓機能、そして心の安定とも深く関わっているため、根本的な体質改善が必要です。

東洋医学の知恵と鍼灸施術、そして日々の生活の中でできるちょっとした工夫を組み合わせることで、「冷えにくく、眠りやすい体」へと近づいていくことができます。


最後に|かみやま鍼灸整骨院のご案内

当院では、「冷え」や「睡眠トラブル」に対する鍼灸施術を得意としています。丁寧なカウンセリングと体質チェックのもと、お一人おひとりに合った施術を提供しております。

「最近、眠りが浅い…」
「クーラーで体がだるい」
「冷え性を根本から改善したい」

そんなお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
この夏、内側から整えて、スッキリと快適な毎日を過ごしましょう。