野球肩・野球肘
野球肩
野球肩とは、主に野球でボールを投げすぎたことによって起こる肩の障害の総称です。
なぜ野球肩は起こるのか?
人の身体はボールを上手から投げるような構造にはなっていません。
小さな子供やお猿さんにボールを持たせたら、下から投げると思います。
なぜ、ボールを上から投げるようになったのか?
答えは、より早く、より遠くへボールを投げたいから!
振りかぶって上手から投げたほうが、大きな力をボールにつたえることが出来るからです。
ボールを上手から投げるということは、人類が獲得した技術なのです。
その代償に肩に大きな負担がかかるので、障害が起きやすいのです。
野球肩の原因と対処法
野球肩の原因は
①使い過ぎ=オーバーユース
②投球フォームの崩れ
③トレーニング不足(筋力、柔軟性)
①使い過ぎ
1日の投球数を考えましょう。アメリカのスポーツ医学会の指導では、
10歳以下は 70球/日
12歳までは 85球/日
が上限といわれ、
1日の投球数が46球を超えた場合は2日の休養が必要、
21球を超えた場合は1日の休養が必要
20球以下で連投可能
となっております。日本の子供も大差はないと考えられます。
これを踏まえると大抵の野球少年は、練習で投げ過ぎと感じてしまいます。
※中学生以上は体格と体力を考慮しながら増やすと良いでしょう。
②投球フォームの崩れ
野球肩になる選手たちは、地肩が強くフォームを気にしていない選手が多いです。しかし、冒頭で書いた通りボールを投げるのは技術です。しっかりとしたフォームを固めることが大切です。
③トレーニング不足
投球動作は全身運動です。上半身だけの運動ではないので、下半身のトレーニング不足により、投球時に身体が流れてしまい、フォームが崩れて痛みが出ます。プロ野球のピッチャーがランニングをしているのはスタミナ強化だけではなく、下半身を鍛えているのです。
また、投球動作では、ボールのリリース時に肩に遠心性(指の方向)の力が加わります。体重の1~1.5倍の力と言われています。
その結果、肩の後ろの筋肉が硬くなり肩関節の動きを制限して、野球肩、二次的に野球肘を起こします。
投げ過ぎ・フォーム改善だけではなく、筋力強化、肩の柔軟性も大変重要です。
野球肘
成長期に投球動作を繰り返すことにより生じる肘の障害の総称
ひとつの病名を指す名称ではなく、靭帯損傷、骨端軟骨損傷、離断性骨軟骨炎など複数の病名を指します。
また、成長期を過ぎた成人でも同様の症状を起こす事があります。
「内側型」「外側型」に分けられます。
野球肘の原因
1.投げ過ぎによるオーバーユース
投球動作をした時に肘がしなり、肘の内側の前腕屈筋群と靭帯が引き伸ばされます。投球を繰り返すことにより、前腕屈筋群が過緊張により筋肉炎を起こし、進行すると「靭帯損傷」や靭帯の付着部が剥がれて障害が起こす「骨端軟骨損傷」を起こします。(=内側型野球肘)9割が、この「内側型」です。
この時、肘の外側では、関節の中で骨と骨がぶつかり合うような負荷がかかります。この負荷によるダメージが積み重なり、肘の外側の骨の軟骨部分に傷がついてしまうのが、「離断性骨軟骨炎」(=外側型野球肘)です。
外側型は少ないのですが、発症してしまうと長期離脱や手術適応になりやすいので予防が大切です。
2.フォームの崩れ(コッキング期に肘が下がっている)
1で投球動作の繰り返しにより起こると書きましたが、きれいなフォームで投げていても起こります。フォームが崩れると更に起こりやすくなります。野球肘を起こしやすい選手は、コッキング期に肘が下がって手投げになっていることが多いです。肘が下がった状態では、肘のしなりが強調されて、野球肘を起こします。
3.身体が硬い
野球肩と同じように投球動作は、全身運動です。全身をしなやかに使ってボールを投げます。身体が硬いと力んでしまい、筋肉に余計な力が入り、野球肘の原因になります。
かみやま整骨院の野球肩・野球肘へのアプローチ
かみやま整骨院の野球肩治療では、筋膜リリースにて痛みの改善を図った後に、再発防止のために、必要ならば上記の1.2はチームのコーチとお話をさせていただき、3はトレーニングの改善を提案していきます。
まず、セルフトレーニングにて肩関節の柔軟性を向上させるようにストレッチをしていただき、肩の可動域を広げ、その上で筋力トレーニングをしていきます。 投球障害は、野球選手のケガの中では、深刻になりやすいものです。早めのケアをおすすめします。